フェイスブックのプロフィール画像は、台湾旅行の際に台北の居酒屋で妻に撮ってもらった写真である。自分でも見たことがないほど満面の笑みで写っていたのでウケてしまって、それで使っている。

 ウェブ上のアイコンになる画像であるから頻繁に変えるものでもないだろうと考えている。ただ、もう二年以上は経っている写真である。自分では今の自分とそれほどギャップがあるように感じていないのだが、他人から見るとどうだろう。白髪は増えているし、実際かなり老け込んでいると感じられているのかもしれない。このまえ、パスポートの写真が現在の本人とかけ離れすぎていて(痩せすぎちゃったんでしたっけ?)話題になった知事がいらっしゃったけど、そりゃパスポートなんて最大で十年前の写真だったりするわけだから仕方ないよなあと思う。何年前の写真だよと突っ込みたくなるような芸能人の宣材写真は、撮り直しゃいいのにと思うけれど。

 そんなわけでプロフィール写真を変えてみようかなと思わなくもないのだが、いかんせん自分の顔が写っている写真というものをあまり持っていないことに気づく。

 自分のカメラや携帯電話で、気に入った風景や食事や、家族や友人を撮影したりはするけれど、自撮りというものはこれまであまりしてこなかったのであった。自分の写真があまりないというのもちょっと寂しいなあと思って最近はときどき記念写真感覚で自撮りをやってみるのだけれど、いかにも自撮りという感じがしてプロフィール写真として使うのはなんだか気が引けてしまうのだ。棒を使えばもうすこし自然な写真になるのだろうか。あの長い棒。

 自撮りでなければ人に撮ってもらうしかないわけだが(セルフタイマーという手もあるけどそれは広義の自撮りだよね)、そのためにわざわざ写真を撮ってくれと自分からお願いするのも気恥ずかしい。なにかイベントがあった際のスナップのトリミング、あるいは記念写真のトリミングあたりがちょうどよいのだが、そのためにイベントを催すというのも本末転倒だ。

 もっといえば、ほんとうをいえば、ポートレートがベストなのだと思う。きちんと演出をして、きちんと撮影される、肖像写真という目的を明確に有した写真。ベストなのだとは思うけれど、そんなものを撮ってもらうなんてあまりの気恥ずかしさに気絶しそうになる。

 自分の顔が表に出ることに対する抵抗はそんなにない。僕の場合はかっこつけることへの抵抗感だ。記憶を、より正確にいえば意識の変遷に関する記憶を丁寧に遡れば、幼い頃の僕はかなりええかっこしーだったはずで、そのことが影響しているように思う。幼い頃の僕の写真は、幼児が一生懸命かっこつけようとしている写真である。それはそれで子どものすることであるから今となっては微笑ましい部分もあるのだが、たぶん僕は、それをあるとき、おそらく思春期の頃に「なにかっこつけてんのバカじゃないの」と強烈に感じたのだと思う。かつての自分が写る写真が恥ずかしくて恥ずかしくて正視に耐えなくなってしまったのだ。きっと自意識の裏返しなのだ。

 さすがに三十を過ぎて、そのへんも含めて冷静に素直な心持ちになれるようになってきたと自分では思っている。かっこつけることを、自分を演出することを楽しんでもいいんじゃないの、と頭では思っている。昔の人の記念写真ってみんなばっちりポーズ取るよねーっていう記事をデイリーポータルZで林雄司さんが書いていたと思うのだが、あんな感じ。そういう気持ちはあるのだが、どっこいなかなか抵抗感のトゲは根深いようだ。

 それこそ林さんの最近のプロフィール写真(インド風のターバンとヒゲと衣装)のように、演出を演出として振り切ってしまえばいいのかもしれない。そうなると、コスじゃなくてもプレイっぽくはなる。これもまたひとつの手ではあるけれど、相対化して茶化し続ける人生というのもちょっと、むなしいかもしれないなあなんて気にもなって。なんだこの煮え切らなさ。思春期か。

 プロフィール画像にするかどうかは別にして、ポートレートって実はちょっと憧れる。というのも以前、ジョニー・デップとティム・バートンが一緒に写っているポートレートがあって、それを見たときに、とてもいいなあと強烈に思ったのだ。なんというか彼らがこれまで成し遂げてきたことと、そして彼らの関係性までもが、象徴的に凝縮しているような一枚だったのだ。もちろん彼ら自身がすこぶるフォトジェニックな被写体であることは間違いないし、そのフォトジェニックさは僕が一生逆立ちしても得られないものだ。でも、なんか、ポートレートがいい感じになるような人生をめざす、というのは、目標設定としてはいいかなとそのとき思ったのだ。それは、かっこつけるとかつけないとか、そういった視点を超えているような気がするのだ。


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鈴木拓磨 SUZUKI Takuma / suzukishika(鈴木鹿)

コピーライター。札幌の広告制作会社に勤務しています。
1982年早生まれ / 小樽市出身 / 札幌市在住 / 文房具とビールが好物
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