葛西薫デザインのカレンダーを使って三年か四年になる。

 望んでいたのはなんの装飾もない、白地に数字と最低限の情報だけのシンプルな月間カレンダー。こんな単純な条件を満たすカレンダーなんてどこでも売ってるんじゃないのって高をくくっていざ探してみたら、まーないない。写真だとかイラストだとかキャラクターだとか、ゴテゴテとした装飾だとか。そういうのが好きな人もいるからこういった商品が多数売られているんだろうしそれはまったく否定しないのだけれど、シンプル方面の需要もあるよね? なのに、こんなに売ってねーの? ってぐらい、ない。ようやく文字だけのやつあった! と思ったらカラフルすぎたり。

 途方に暮れた僕が、どこで見つけたんだっけか葛西薫デザイン。もう一目でコレって感じであった。もちろん単に条件を満たしているだけではなく、その洗練されてなおかつ控えめな存在感、だけどちゃーんと見やすい機能性。素晴らしいのである。ひょっとするとシンプルなカレンダーが少ないのってその難易度の高さゆえなのかも。このカレンダー、この先も毎年買うと思う。

 もともとカレンダーにこだわりはなかったし、自室に貼らずに過ごしていた時期もあったけれど、あればやっぱり便利だ。日付を知る道具として。予定について考えを巡らすときの土台として。家族間の予定を共有する場として。

 僕の父は鉄道の運転士という仕事柄、出勤時刻や休みがバラバラで、実家の居間のカレンダーには父の出勤時刻、勤務終了時刻、休日、そしてその日は弁当が要るのかおにぎりが要るのかゆで卵が要るのかカップ麺が要るのか(それらはいくつ要るのか)がびっしりと書き込まれていた。「おに1 ゆで1」とか。母がパートに出始めてからはそこに母の出勤日と休日が書き込まれた。今にして思えば、子どもたちの予定のほとんど書き込まれないカレンダーだったな。まあ、ルーティンな生活をしているのが子どもたちだけ、という家だったんだな。

 というわけで家のカレンダーというのは予定を書き込むもの、という意識が僕にはある。今、予定はそんなにあるわけではないけれど、職場の飲み会があるときなど事前に書き込んでおけば比較的円滑に事は進む(そして、書き込んでおかなかった場合の軋轢)。なので、ほぼ日刊イトイ新聞の「ホワイトボードカレンダー」がけっこう気になってはいるんだけれど、まだ購入には至っていない。書いて消せる素晴らしさっていうのはたしかにわかるのだが、それって擦って消せるフリクションで書けば同じじゃんと思っちゃう。違うんかな。

 僕の場合はカレンダーに「余計な要素は要らん」という判断を下しているわけだが、前述のような写真やイラストのカレンダーっていうのはつまり、部屋の装飾的な意味合いも兼ねる、ということだと思う。ポスターを貼るみたいな前のめりな感覚でカレンダーを貼るのか、どうせカレンダーを貼るなら……という消極的な意識なのかという差はあるかもしれないけど、わざわざカレンダーを買うとなれば納得のいくものを選びたいものである。

 カレンダー売場でよく見るのはきれいな風景や超かわいい犬猫のやつ。有名な絵画や、もちろん水着のアイドルのもある。ナタリー編集部の男子トイレのカレンダーがどのグラビアアイドルになるのかという報告ツイートを毎年楽しみにしている。今年まで三年連続で篠崎愛らしいんだけど、来年は武田玲奈がその牙城を崩すのではと予想している。

 スポーツ選手のもあるね。北海道だから日本ハムファイターズのやつも大体売っている。チームナックスのおにいさんたちが全身タイツで体を張ったひどい(いい意味で)のもあった。あと、飾るというよりは読むカレンダーというのもありますね。特に日めくりがそうかもしれない。格言が書き込まれているようなのは昔からあるし、その発展形が二〇一五年にバカ売れした松岡修造の日めくりだったり。あと、マンガ『よつばと!』の日めくりもロングセラーだよね。

 こうして考えてみると、カレンダー売場のラインアップはけっこうバラエティに富んでいる。たぶんだけど、昔よりもカレンダーを「買う」人って増えているんじゃないか。似たところでいうと手帳が近年ブームになった背景には、かつては勤務先から年末年始に無料で支給されていた手帳(年玉手帳)があったが、不景気の経費削減でめっきりなくなってしまったという現象があるのだそう。カレンダーには今でも企業や商店のノベルティのやつってけっこうあるけれど、これも昔に比べれば減ってたりするんでしょうかね。家庭用というよりは、オフィス向けのノベルティとしてはまだまだ出番があるように思うけど。

 ちなみに「カレンダーは日曜始まり派/手帳は月曜始まり派」である。


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鈴木拓磨 SUZUKI Takuma / suzukishika(鈴木鹿)

コピーライター。札幌の広告制作会社に勤務しています。
1982年早生まれ / 小樽市出身 / 札幌市在住 / 文房具とビールが好物
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