#3 三連休

2013.09.26

 無敵の気分である。盆暮れ正月どころの騒ぎではない。だって、盆も暮れ正月も用事があって何かと忙しい。そもそも夏休み中・冬休み中だからありがたみは薄い。いや、むしろ、盆暮れ正月を内包する夏休み・冬休みよりも、そのうれしさは大きい。

 これが四連休より多いと、もはや何が何だかわからなくなってしまうのがいただけない。四日間もある、という甘えが出てくるのだろう。こうなると「有意義」の姿はすっかり霞んで見えなくなって、気がつけば最終日の夜、サザエさんもやってないのにサザエさん的なブルーに陥るのが関の山だ。そうでなければ、それこそ盆暮れ正月ではないけれど、なにがしかのイベントがあって、忙殺されている間にあっという間に時間は過ぎて、休んだ実感もほとんどないままにでも体だけはしっかり休日順応してしまって、明けの出勤のきついこときついこと、ついつい早弁しちゃったくらいにして。

 三連休がちょうどいいのである。

 では、有意義さんと友達になるにはどうすればいいのだろう。僕が好きなのは三連休そのものよりも、その前夜かもしれない。つまり、いくつかの「やりたいこと・かねてからやりたかったこと」を、ああでもない、こうでもないと組み立てる作業。優先順位をつけて、などと仕事のような堅苦しさは遠慮したいが、やってることはおんなじだ。連休突入直前の開放感、ゆるりと酒でも飲みながら、あれもしたいこれもしたいと夢想する時間。最近では、結論をみないままに体力が限界を迎えて、まあいいや明日起きてから決めんべ、就寝、となってしまうのが、ややいただけないが。

 計画がまとまっているにせよ、まとまっていないにせよ、三連休の充実度はだいたいの場合、初日の午前にすべて決してしまう。目覚ましなんかかけたくない、自然に起きたいのが人情というもの、わかる、だが、起きたら初日の午前が終わっているときがある。三連休の負けは決定的である。その時点で「初日はバッファ、明日からいつもの二連休」と気持ちを切り替えられるかどうか、挽回の可否はそこにかかっている。

 三連休を、どう割り振るか。たとえば小旅行など、三日間を要する用事を一つ、どすんと入れるというのは言うまでもなく王道。せっかくのまとまった休みに、そういったときにしかできないことをする。いいんである。その場合、初日は当然目覚まし使用、場合によっては普段よりも早起きということは間々ある。そして、普段よりもずーっと疲れるということも、よくある。いいんであるが、欠点ではある。体力に自信がなければ、三日目を「休息日」として、予定を入れないというのがいい。ちょっとした家事などを片付けながら、昨日一昨日の思い出にひたり、なんなら写真を整理しつつ日記をしたためるなど。大人としては後者を採りたいが、なんせ生来の貧乏性、前者を採って翌週撃沈、が近頃の常である。徹夜こそしないけど、三日三晩、遊び倒してしまう。それはそれで悪くないのだができれば四連休以上のときにやりたい。まあ、もうしばらくすればそんな体力気力もなくなって、すっかり三連休にちょうどいいサイズに自分自身がおさまってしまいそうだけれど。

 さて、これだけ三連休が増えた近頃では、三連休の特別さはだいぶ失われてしまった。まず土曜が休みになった。僕は1982年早生まれの学年で、同級生は安達祐実と内山君。小学生のときに第2土曜が休みになり、中学生のときに第4土曜も休みになった。大学に入ってからは土曜の講義はもともとなかったが、その数年後に小中高では全土曜が休みになった。そんな世代。それに加えてのハッピーマンデー法。カレンダーは三連休で溢れた。シルバーウィークて。ザ・三連休。三連休オブ三連休ズ。それは、五月三四五をおいてほかはないだろう。なんせシルバーよりゴールデン。そこは常に三連休だった。いまだに五月三四五は、僕の中で燦然と輝きを放ち、毎年僕をワクワクさせてくれている。

 学生の頃、休みって要は学校のない日でしかなかった。シンプル。いま働くようになってしばらくたって、「休む」ってことについて考えることが多くなった。《体調を整える。メンタルを整え、あるべき状態に戻す。歪みをとって、ニュートラルにする。》《刺激をうける。普段、細切れの空き時間では触れられないようなものに触れる。》前者を常日頃から実現できていれば、後者に休日を使うことができるのになあ、と思うのは、机上の空論かしら。

 休みはいい。休みが好きだ。三連休がとっても好きだ。でも、休みこそが僕の人生だと思いたくはない。よね。願わくばね。「はたらくからこそやすまれる」とはビギンもうまいこといったものだ。忙しいときの僕は最近、そればっかりマントラのように唱えている。昼からビールは、たまにだからうまいんだ。うまいよなあほんと。乾杯!


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鈴木拓磨 SUZUKI Takuma / suzukishika(鈴木鹿)

コピーライター。札幌の広告制作会社に勤務しています。
1982年早生まれ / 小樽市出身 / 札幌市在住 / 文房具とビールが好物
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